改めて考えさせられる啓蒙映画4作品
史上最も有名な映画は何か?と聞かれると、パッとすぐに思い浮かぶ作品は多いでしょう。ドラマ、スリラー、スポーツ、ホラー、SFなど、色々なカテゴリやジャンルがありますよね。ただ今回の記事では、単純に人気であるだけではなく、さまざまな映画のカテゴリから特に「啓蒙」的な作品をピックアップしてみました。映画は時にメインストリームを超え、公開から何年も経った後でも、観客の心に残るような深い思想を示唆する映画もあるのです。では早速、みていきましょう。
-
『カッコーの巣の上で』(1976年)
映画『カッコーの巣の上で』は、ある一つの物語がどのように悲劇へと発展していくかを示す素晴らしい作品です。精神的に病んでいる人たちとその扱いについて知り、悲しい気持ちにさせられます。ストーリーは痛快でありながら面白いけれども、示唆に富んでいるといえます。
同作で主演を演じた俳優ジャック・ニコルソンの演技は、おそらく最高傑作でしょう。同じく脇役の何人かはよく知られた俳優で、彼らの感情の幅の広さには作中ずっと驚かされます。タイミングが良いのか悪いのか、不可解なシーンで笑いを誘う一方で、信じていたことを改めて考え直すきっかけもくれます。
笑ってしまう場面もありつつ、心がホッと温まるような思いやりのある物語を描いている同作は、あらゆるシネマレビューサイトから高評価を得ており、IMDBではトップ50にランクインしています。
-
『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』(2014年)
実在した数学天才者アラン・チューリングの人生を描いた作品。彼の語りは雄弁で、初期と現代の回想を織り交ぜながら彼の性格が見事に映し出されていることで、彼の経験を完全に理解できるようになっています。しかし残念ながら、アランの寿命は短いものでした。
アランは並外れた能力を持った大天才であり、より教養のある視点を持っていました。もし彼がもっと長生きできていたら、世の中のもっと色んなことに貢献してくれたでしょう。
現代社会では、このように考えるのは一般的ですが、この社会こそがアランをダメにしてしまったのです。同作は、人間の心を見事に描写していて、色彩、照明、語り、演技など、どれをとっても素晴らしく仕上がっています。
-
『しあわせの隠れ場所』(2009年)
「ああ、よくあるスポーツ映画か」と思う人がいるかもしれませんが、同作はただのスポーツ映画ではありません。私たち人間はそれぞれの特徴やユニークさを受け入れ、お互いを認め合える社会になっていくべきか、について訴えかける映画になっています。
心に響くような名言がいくつも登場しますが、どれも同じような意味合いを持っています。また、自分の能力を発揮できれば、誰にも明るい未来が待っているということを示唆しています。人生は厳しいものだけど、自分を心から支えてくれる適切な人物に出会えるのはもっと難しいのです。
-
『レクイエム・フォー・ドリーム』(2000年)
医療、プライバシー、偏見、差別など、社会を分断しながらも、それでいて社会で許容されているものすべてを強調した名作です。警鐘を鳴らすと同時に、見応えのある映像に仕上がっています。
同作の特徴の一つとしては、現代社会でも深刻な問題ともなっている薬物使用とその影響を表現している点です。そのため、ストーリーの展開を通して緊張が高まり、より深く引き込まれていきます。すべてのシーンがよく練られ、丁寧に構成されているうえ、素晴らしい音楽が挿入されています。
映画の前半は、デザインが場違いな気がして、個人的にあまり好きではなかったのですが、後半のシーンでは、すべてが意味を持ち始めました。女優ジェニファー・コネリーは、素晴らしい演技を披露していましたし、主演のジャレッド・レトとエレン・バースティンも良い演技をしていました。